【フリー台本】みすぼらしい王様【読み聞かせ用】
むかしむかし、あるところに、民を笑わせたものから王様を選ぶ国がありました。 毎年のハロウィンに立候補したものが、国の中央広場に特別に用意されたステージに上がり、仮装をして思い思いの芸を披露します。 ピエロの姿でおどけるも…
むかしむかし、あるところに、民を笑わせたものから王様を選ぶ国がありました。 毎年のハロウィンに立候補したものが、国の中央広場に特別に用意されたステージに上がり、仮装をして思い思いの芸を披露します。 ピエロの姿でおどけるも…
乗船 「553…552…551号室…あった」 乗船時に受付で渡されたカードキーをかざすと、解錠されたらしい音がした。 同時に、出航の合図であろう、汽笛が鳴り響く。 不慣れ…
あれはまだ、沖から吹く海風があまりに冷たく、 その年もまた着慣れたコートを脱ぐことができなかった頃。 砂浜を歩く季節外れの観光客の人目を避けるようにして、 少年は几帳面に整備された砂まじりの遊歩道を歩いていた。 あらゆる…
一 ノルタ帝国 こんなはずではなかった。ほんの少し、理不尽に抗いたかっただけなんだ。 ただそれだけだったのに、僕は今、引き裂かれる思いを胸に、眼前に深まる暗闇を見つめている。 このドカドカとうるさい鼓動も、喉が焼けるよう…
おやすみポポ 夜咄 頼麦 作 ー たいせつなものは、すぐそばにあるものだよ ー 注1:この作品は著作権フリー台本です。どなたでもお読みいただけます。 注2:下線部は、なるべくゆっくりと読んでみ…
小さい頃は、海鮮系の食べ物をめっぽう苦手としていた。 イカ、タコ、ホタテ、エビ、魚の刺身なども生々しくて苦手だったことを覚えている。 そんな私の苦手意識を払拭するものが現れた。エ…
冷たい風の吹く12月、温泉に浸かりたい、と思い立って日帰りで山間の温泉街へ出かけた。 予約をせずとも空席の目立つ昼過ぎの高速バスに乗り込む。 見慣れた都会の景色が次第に移り変わり…
陶磁器で彩られた路地を歩く。 足元には陶器のタイル。高台へ続く階段にも色とりどりの磁器が貼られている。 程よく緑の茂った道路脇にまで、この土地の名産品が散りばめられ、調和している。 かつて、焼き物の街として…
春になって桜の季節になると、学生時代に毎年通った桜並木を思い出す。 初めてその並木を通った時は、あまりの迫力に言葉を失ったものだ。 以来、二年目の桜だなぁ、三年目の桜だなぁ、と毎年思い、六年目にして引っ越し…
夏の孤島で夜明け前に散歩に出た。 島を一周して、日の出を見てやろうという算段だ。 民宿の扉を静かに開け、まだ薄暗い夜明け前の階段を慎重に下っていく。 海沿いは観光地、標高の高い場所は島民の住宅地になっている…
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