2025.08.19 夜咄頼麦
蟲の声 まろやかにする 障子かな
銘々に 己が宇宙を 剥き出して 彷徨い暮らす 虚の都市哉
読み終えて 深いため息 書の呪い
花火指し 寄せては返す 人波の 持ち寄るものは 夏の寂しさ
惜しむほど なお鮮やかな 緑かな
湧き出でて 身体を包む 流れ湯に 混じり溶けるは 継ぎし泡沫
祝い咲き 白い躑躅の ドレス哉
里帰り 枕に沈み 迎ふ春 咲き満つ花ぞ 今は恋しき
先見えぬ 縋る糸なき 苦しみに 和らぐものは 人の温もり
余さずに 全て糧とし 血肉とし 頬張る命 只有り難し
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