夏の抵抗
粗悪な言葉に疲れたなら 最寄りのベンチに赴いて 蝉の競い求める声を聴き 世の喧騒を打ち消すのみ
粗悪な言葉に疲れたなら 最寄りのベンチに赴いて 蝉の競い求める声を聴き 世の喧騒を打ち消すのみ
それでも日は昇る
選びとったものには 正解も間違いもない 正解にする必要も 間違いにする必要もない ただし 選びとったものとは 向き合い続けねばならない 選びとらなかったこととも 向き合い続けねばならない だから 選択をした後に 向き合い…
言葉は要らない 言葉は要らない 森を歩くために言葉は要らない 雨を聴くために言葉は要らない 言葉は要らない 言葉は要らない 川で涼むために言葉は要らない 海で遊ぶために言葉は要らない 言葉は要らない 言葉は要らない 手を…
くり返す日々の中の ちょっとだけ嬉しいことを 数えてみようと思います ある朝に咲いた ベランダのオクラの花 詩集の中で見つけた 小さなやさしい言葉 昨日つくったカレーの ルゥのとけのこり そして 自分にとっての嬉しさを …
必死に手足を動かすも 寄せる波には逆らえぬ 先見れば満天の青と白 後見れば波間の夏の声 目を射る太陽は熱与え 目に入る海水は熱奪う 今この場所は真ん中だ 生と死交じる真ん中だ 自らの抱える悩みなど 泡と消えゆく真ん中だ …
目を開けると二匹の鮎が こちらを白い眼で見つめていた 丸々と肥え太らされた挙句 どちらも白昼の食卓のため 塩をふられて炙られて こちらを白い眼で見つめている 片方は悲痛な顔をしており 片方は観念した様子である 私は 徐に…
夜が嫌いだ。 全てを赦すふりをする、夜が嫌いだ。 海が嫌いだ。 平気で命を吸い込む、海が嫌いだ。 月が嫌いだ。 還らぬ日々を見せつける、月が嫌いだ。 本が嫌いだ。 訳知り顔で押しつける、本が嫌いだ。 丸太が嫌いだ。 死ん…
自分のいちぶを失うと ぜんぶを闇に染められる 目隠しされたかのように まっくら闇につつまれる そんな時にはどうするか どうにか生き抜く他にない 逃げてもこけても構わない どうにかやり過ぐ他にない しばらく生き抜くその内に…
暮れ泥む 空に溶けるは 夏けむり 囃子の響き 迷い子の夢
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