【フリー台本】やどかりのポポ【読み聞かせ用】

やどかりのポポ

夜史 頼麦 作

 

ー たいせつなものは、すぐそばにあるものだよ ー

 

注1:この作品は著作権フリー台本です。どなたでもお読みいただけます。

注2:下線部は、なるべくゆっくりと読んでみてください。

注3:【あくび】では、実際にあくびをしてみてください。

 

さーて。今日も、とっても眠たくなるようなお話をしようね。今日するのは、みんなといっしょで、ぐっすり眠りたいやどかりのポポのおはなし。ききながら、すぐに眠ってもいいし、おはなしの終わるころに眠ってもいいよ【あくび】みんなはどっちにする?

 

ポポは、みんなといっしょで、あそぶことが大好き。たのしいこと、うれしいこと、毎日たくさん遊んで、夜にはもう、くったくた。【あくび】ぐっすり眠って、明日また、いっぱいあそぼうって思ってる。ぐっすり眠ったら、きっと、いい夢も見られるからね。じゃあ、目をつむって。おはなしをはじめるね。

 

むかしむかし、あるみなみのうみに、ポポという、やどかりの子がいました。ポポは、みんなとちょうど同い年。やさしいお母さんやどかりと一緒に、海の中の、岩のすきまのおうちで暮らしています。

 

毎日、あったかい海でいっぱい遊んで、くたくたにくたびれて【あくび】、お母さんやどかりや、きょうだいやどかりたちといっしょにごはんを食べて。おなかがいっぱいになって眠たくなったら、眠る前に、「今日もありがとう、おやすみなさい」とつぶやいて、自分のカラの中でほほえみながら眠ります。でも今日は、なんだか眠れないみたい。

 

どうやら、いつも中で寝ているカラを小さくかんじて、寝づらく思ってしまっているようでした。新しくて、ねごこちのいい、ぐっすり眠ることのできるカラがあれば、すぐにでも眠たくなって、夢の世界に行くことができるでしょう。

 

きょうだいやどかりたちに聞くと、みんな、自分のカラがいちばん、ゆったり眠ることができると言います。気になり始めると大変で、お母さんやどかりのカラだって、大きくてねごこちがよさそうで、うらやましく思い始めてしまいました。

 

ポポは、新しくて、ねごこちのいい、ぐっすり眠ることのできるカラがほしくてたまらなくなって、「お母さん、僕、新しいカラがほしいと思うんだけど、どんなカラがいいとおもう?」お母さんやどかりに聞きました。

 

するとお母さんやどかりは「そうね、お母さんはサンゴの森の向こうに住んでいる、かめのおやすみおじいさんにカラを選んでもらったわ。かめのおやすみおじいさんは、貝ガラ集めが大好きなの。きっと、ぐっすり眠ることのできるポポにぴったりのカラを教えてくれるわよ。」

 

お母さんやどかりにそう教えてもらったポポは、お母さんやどかりと一緒に、サンゴの森の向こうの、かめのおやすみおじいさんのところに行くことにしました。

 

ポポとお母さんやどかりは岩のすきまのおうちを出て、サンゴの森を目指します。ポポたちのおうちは、サンゴの森のすぐ近くにあるので、入り口まではあっというまです。

 

でも、ポポたちはやどかりですから、歩くはやさもゆっくりです。ゆったり、のんびり歩いていきます。すると、サンゴの森の入り口で、ヒトデのヒトちゃんに会いました。

 

「こんばんは、ポポにお母さん。どこかにいくのかい?」とヒトちゃん。

 

「実はね、これから、かめのおやすみおじいさんのところに、新しくて、ねごこちのいい、ぐっすり眠ることのできるカラを教えてもらいに行くところなんだ。」とポポ。

 

すると「そうなんだね。ぐっすり眠れないなら、とっておきの方法をおしえてあげるよ。でも、眠たくなったら、とちゅうで寝ちゃってもいいんだよ。だんだん、眠たくなってきているんだから」とヒトちゃんは言います。

 

体を楽にして、こうやって、だらーんと力を抜いていくの。まずは足から楽にして」すると、本当に足が楽になってきます。

 

「次はひざを楽にして。ほら、足ぜんたいが楽になってくるよ」すると、本当に足ぜんたいが楽になってきます。

 

「次はおなかを楽にして。ゆーっくり、息を吸って、はいて」息を吸って、はいてみます。すると、本当に体が楽になります。

 

「次はうでを楽にして」すると、本当にうでが楽になってきます。

 

「最後にあたまを楽にして」すると、すーっと力が抜けて、眠たくなってきました。【あくび】

 

眠たくなっていくから、だんだん体が重たく感じてくるわ。そうしたら、しんこきゅうをしてごらん。すーっとゆーっくり息を吸って、ゆーっくり息を吐いて。ほら、おちついてきたでしょう。体を楽にしていくだけでいいの。これですぐに眠たくなってくるわよ」と、ヒトちゃん。

 

ポポは、ヒトデのヒトちゃんの言うとおりにすると、なんだか体がポカポカして気持ちよくなり、眠たくなってきました。【あくび】

 

ヒトちゃんにまたねってあいさつをしたあと、ポポとお母さんやどかりはサンゴの森に入りました。サンゴの森は色とりどりのサンゴがはえ、その間を細い道が続いていきます。あお、あか、しろ、ピンク。ポポはさっきのヒトちゃんのおかげで眠たくなってきていましたが、お母さんやどかりについてゆったり、のんびり歩いていきます。

 

しばらく行くと、広場に出ました。広場の上を見上げると、それはそれはきれいなサンゴたちがそびえ立っています。そんなけしきの中、ふわふわ浮いているものを見つけました。クラゲのクラちゃんと、その家族たちです。

 

クラちゃんにはたくさんの家族がいて、いつも一緒に海をただよっています。クラちゃんたちはゆらゆらと海にゆられていて、ポポは見ているだけでなんだか眠たくなってきてしまいました。

 

せっかくなので、ポポはクラゲたちの数を数えてみることにしました。数えるたびに、どんどんまぶたがおもたくなってきます。何人くらいいるのかな。数えてみるね。

 

い~ち・・・クラちゃん。気持ちよさそうだなぁ、あんなふうに漂って、の~んびりゆらゆら浮いてみたいなあ。海にゆられて、ゆ~らゆら。ゆ~らゆら。

 

に~い・・・お兄さん。なんだか、とてもゆったりした気持ちになってきました。

 

さ~ん・・・お母さん。ほ~ら、だんだん体の力が抜けてきました。

 

よ~ん・・・お父さん。眠たくて眠たくて、あくびが出ちゃいます。【あくび】ポポの気持ちも、ふわふわとしてきてしまいました。ゆったり、ふ~わふわ。ふ~わふわ。

 

ご~お・・・おばあさん。もうすっかり眠たくなって、まぶたがおもたくて、ひらきません。いい気持ち。

 

ろ~く・・・おじいさん。どうやら、もう眠っているみたい。そうして数えていると、クラちゃんがふわふわとこちらに近づいてきました。

 

「こんばんは、ポポにお母さん。どこかにいくのかい?」とクラちゃん。

 

「実はね、これから、かめのおやすみおじいさんのところに、新しくて、ねごこちのいい、ぐっすり眠ることのできるカラを教えてもらいに行くところなんだ。」とポポ。

 

すると「それなら、試しにかぶさってあげるよ。ふわふわして、眠たくなるかもしれないよ」

 

そう聞くと、ポポはカラをぬいで、クラちゃんをせおってみました。クラちゃんの体はとうめいで、せおうとすこしひんやりして気持ちがいいです。でも、まわりがすけて見えてしまって、眠るには少し、おちつきません。

 

ポポは「クラちゃんありがとう。とってもここちよくてすてきだけど、ずっと一緒だとクラちゃんも家族と一緒にいれないから、自分のカラをさがしてみるよ」と言って、クラちゃんにありがとうとあいさつをして、お母さんやどかりと一緒に、のんびりサンゴの森をすすみます。

 

この時、眠たくなってしまっていたポポは、自分のカラをせおいなおすのをわすれて、そのまま歩いていってしまいました。お母さんやどかりもなんだか眠たそうで、そのことに気づきません。

 

しばらくのんびり歩いていくと、かめのおやすみおじいさんのお庭につきました。クラちゃんの家族をかぞえたことで、もうずいぶんと眠たくなってきています。【あくび】今にも眠ってしまいそうです。

 

よく見ると、かんばんが立っていて、「わしは貝ガラが大好き」と書いてあります。ポポは、やっと、新しくて、ねごこちのいい、ぐっすり眠ることのできるカラを見つけられる、とうれしくなりました。

 

ポポはもう、眠たくてたまらないので、かめのおやすみおじいさんのおうちのドアをノックしました。

 

かめのおやすみおじいさんは「おやおや、だれじゃ」と、の~んびり、ドアを開けました。はじめはおどろいていましたが、ポポとお母さんやどかりに会えてにっこりと笑っています。

 

ポポが、新しくて、ねごこちのいい、ぐっすり眠ることのできるカラを探していることを話すと、

 

「そうかそうか、それでカラがないんじゃな。それならきみにぴったりのカラを探してあげよう。おあがんなさい」と、の~んびり、かめのおやすみおじいさんは言いました。

 

 

ポポは、かめのおやすみおじいさんに言われて初めて、自分のカラをサンゴの森の広場にわすれてきてしまったことに気づきました。でも、また帰りに広場をとおるし、それにこれから新しくて、ねごこちのいい、ぐっすり眠ることのできるカラをもらえるんだからいいかな、と思ってお母さんやどかりと一緒にドアをくぐりました。

 

かめのおやすみおじいさんのおうちに入ったポポは、思わずびっくり。おうちのかべというかべには、たながかけてあり、貝ガラやらサンゴやら、人間のすてたビンやらがびっしりと並んでいます。床にはなが~いつくえがあり、その上には、とくにかめのおやすみおじいさんのお気に入りの貝ガラがかざってありました。

 

かめのおやすみおじいさんはその中から、いくつかポポのからだにあいそうな貝ガラを運んで持ってきてくれました。

 

「さぁ、どれでもお好きな貝ガラをためしてごらん。」と、の~んびり、かめのおやすみおじいさん。

 

ポポは、かめのおやすみおじいさんの言うとおりに、どのカラが一番、ねごこちのいい、ぐっすり眠ることのできるカラなのか、ためしはじめました。まずは、いちばん大きなクリーム色のまき貝。中に入ると、すっぽり入れてひろびろとしています。ポポは、これがいい!と思いましたが、いざ、せおってみるとものすごいおもさです。これではおうちまでだって帰れそうもありません。

 

次の貝ガラは細くて長い、とげとげのまき貝。すごくかっこよくて、せおったら自分までかっこよくなれそう。ポポは、これがいい!と思いましたが、これはちょっときゅうくつで、ぐっすり眠るにはちょっとせまいようです。

 

ほかにもいろいろな貝ガラをためしては、「うーん、ちがうかなぁ」をくり返し、とうとう人間のすてたビンまで試したポポ。それでもぐっすり眠れそうなカラは見つかりませんでした。

 

かめのおやすみおじいさんはざんねんそうにしているポポにやさしく「また、いい貝ガラがあったら集めておくから、いつでも探しにおいで。でもね、たいせつなものは、すぐそばにあるものだよと、の~んびり、言ってくれました。

 

ポポとお母さんやどかりはかめのおやすみおじいさんにおれいを言って、ドアからおうちを出ました。

 

ポポは、たくさんの貝ガラをためして、もうくたくた。疲れて【あくび】、くたくたで、もうからだにも力が入りません。眠たくて眠たくてしかたがないのです。そんなようすを見て、お母さんやどかりはポポの手を引いて、

 

「おうちに帰って、ぐっすり眠りましょう。きょうはお母さんのカラをかしてあげるわ」と言って帰りのサンゴの森のほうに歩きはじめました。

 

の~んびり、ゆったり二人で帰り道を歩いていると、行きにとおった広場に出ました。クラゲのクラちゃんとその家族は、ふわふわと浮きながらぐっすり眠っています。ポポは、その広場のまん中に、行きに忘れていった自分のカラがあるのを見つけました。

 

ポポは「かめのおやすみおじいさんのおうちでは新しいカラは見つからなかったし、ひとまずこのカラをせおって帰ろうかな【あくび】」と眠たそうにつぶやいて、そのカラをせおいました。

 

するとどうでしょう。かめおやすみおじいさんのおうちでためしたどの貝ガラよりもぴったりで、心地のいい貝ガラだ、という気がするのです。ポポは、これならぐっすりと眠れそうだ、と思いました。

 

あたり前にせおっていた貝ガラは、実はポポにとって、いっちばん、ねごこちのいい、ぐっすり眠ることのできるカラだったのです。

 

これで、もうすっかり安心したポポは、お母さんやどかりと一緒に歩きます。あとはもう、おうちに帰ってぐっすり眠るだけです。

 

サンゴの森の出口で、ポポはヒトデのヒトちゃんを見かけました。ヒトちゃんは、うとうとして、今にも眠ってしまいそう【あくび】。ヒトちゃんは、うっすら目を開けて、ポポのせおっているカラを見て「ポポ、おかえり。そのカラ、いっちばんきみににあっているよ」と声をかけてくれました。

 

ポポはもう、嬉しくて、ほこらしくて、もっともっと、自分のカラのことが大好きになりました。

 

ポポとお母さんやどかりはゆ~ったり歩いていくと、だんだんおうちが見えてきました。やっとついた、と、くたくたのポポは思いました。ずいぶんと時間もおそくなりました。さっきよりも、ずぅーっと、【あくび】くったくたです。

 

岩のすきまをくぐりながら、ポポはもう、安心と嬉しさと眠たさで、大きな大きなあくびをしました【あくび】。きょうだいやどかりたちはもう、ぐっすりと眠ってしまっています。

 

ポポは、ずっとついてきてくれたお母さんやどかりにおれいを言って、「今日もありがとう、おやすみなさい」と伝えました。

 

ポポは、大好きな自分のカラの中に入りながら「自分にとって、ねごこちのいい、ぐっすり眠ることのできるカラは、ずっとここにあったんだね。たいせつなものは、すぐそばにあったんだ」とつぶやいて、目をとじました。

 

目をとじながら、ポポはヒトちゃんに言われたことを思い出しました。からだを楽にして、心をおちつかせます。そして、クラちゃんの家族を頭の中で数えます。

 

い~ち、に~い、さ~ん、し~い、ご~お、ろ~く・・・。

 

お母さんやどかりは、ポポが眠りに落ちていくのを見守りながら「おやすみなさい。よかったわね」といいました。

 

あしたからはきっと、このねごこちのいい、ぐっすり眠ることのできるカラのおかげで、もっともぉ~っと早く、眠たくなってしまいそう。そんなこと思いながら、ポポは眠ってしまいました。決して、新しいカラじゃないけれど、すぐそばにある、たいせつなカラの中で。

 

たいせつなものは、すぐそばにあるものだよ。

 

おやすみ。

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