青春

先頭でバトンを受け取って、

少年は懸命に走った。

先頭でゴールをするために、

少年は懸命に走った。

でも途中でバトンを落とし、

後の皆に抜かれてしまった。

面目のなさに視界はぼやけ、

転んだ脚もひどく痛んだが、

それでも少年は立ち上がり、

一心不乱に駆け出した。

全力に無理した脚は痙攣し、

まともに走れてなかったが、

ただ懸命にゴールを目指し、

歯を食いしばり駆け抜けた。

ゴールと同時に倒れ込み、

何も言えずにただ泣いた。

そこに駆け寄り来てくれた、

仲間の顔はくしゃくしゃで、

彼らは口々にこう言った。

いいものを見せてもらった

青春をありがとう

と。

スポンサーリンク

1 個のコメント

  • トゥルーストーリー。
    懐かしく話されていたのを覚えています。
    健明に 一心不乱に 全力で
    まさに青春真っ只中の言葉が並んでる。
    忘れないよね
    忘れられないよね、
    こんな素敵な経験は。
    きっと頼麦さんの記憶に強烈に刻まれたことでしょう。

    ユニフォーム 戻れぬ夏の 匂いする
    どなたかが詠まれた俳句をこの少年に捧げます。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA