出汁めし

出汁めしは鶏に三つ葉が良い。

柔らかに輝く白ごはんに、表を香ばしく炙りあげた、もも肉を乗せる。

白ごまを軽くふりかけ、細かく刻んだネギと三つ葉で飾りつける。

鶏の、ほのかな紅に薬味の緑が映え、器の中は一枚の絵画のようである。

この時点の見た目だけでも、食欲をそそるには十分すぎる魅力だが、本命はここからだ。

温めておいた秘伝の黄金出汁を、ゆっくりと、円を描くように回しかけていく。

この時、全体の頂点に出汁をかけないよう、盛り付けのバランスが崩れないように留意することが肝心だ。

書道において、最後のトメ、ハネ、ハライに気を配るように、出汁の最後の一滴まで、決して無駄にせぬように、丁寧に注ぐ。

こうして出来上がった出汁めしの味については、もう何も言うまい。

上手く、三つ葉、ねぎ、白ごま、もも肉、白ごはんを一口分にまとめ、気を整えて、ひと思いに頬張ってほしい。

もしもあなたが日本酒を好むなら、菊姫をちびちびと嗜みながら食すのもまた、おすすめの食べ方である。

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