【フリー台本】上野の海鳥【1人用 |5分】

上野の海鳥

頼麦 作

 

この文章の著作権は夜咄頼麦に帰属しますが、朗読についての著作使用権は解放しております。YouTubeでの朗読、声劇、そのほか音声表現活動などで自由にお使いください。

その際、この原作ページのURLを作品などに掲載していただきますよう、お願い申し上げます。

春になって桜の季節になると、学生時代に毎年通った桜並木を思い出す。

初めてその並木を通った時は、あまりの迫力に言葉を失ったものだ。

以来、二年目の桜だなぁ、三年目の桜だなぁ、と毎年思い、六年目にして引っ越した。

引っ越し先の春、花見で賑わう、とある池のある公園。

家族連れや、車椅子を押して通う人もいる有名な花見スポットだ。

公園は大変な人混みで、沿道には屋台などもたくさん並んでいる。

通りがかりに偶然ベンチが空いたので、周囲を伺い、端のほうに腰を下ろす。

池沿いのベンチは大人気で、椅子取りゲームかのように目を光らせる人もいたので、幸運だった。

この公園に来ると、必ずと言っていいほど、この褐色のベンチに腰を下ろす。

そんな矢先、目の前の柵に一羽の鳥が降り立った。

海鳥のような風貌で、白い毛並み、、、羽根並みが美しい。

きっと、この人が集まるシーズンには、人間の撒く獲物を食べにやってくるのだろう。

ここぞとばかりにシャッターを切ると、鳥が羽を伸ばしたので、動きのある一枚になった。

エサを与えないでくださいとの看板もそこここに見られ、これには私も賛同するが、

撒かれるエサのおかげで素敵な写真を撮れたので、複雑な気持ちになった。

それでも、エサを撒くのはやめようね。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA