滑稽
ふと歩きたいと思い立ち ダウンとマスクと家の鍵 寝癖隠しの帽子をかぶる。 | ドアを開けると冷たい雨 一瞬の躊躇はしたものの 負けるもんかと歩き出す。 | 道吹く風はあまりに寒く つまらぬ意地を後悔する。 それなら急いで…
ふと歩きたいと思い立ち ダウンとマスクと家の鍵 寝癖隠しの帽子をかぶる。 | ドアを開けると冷たい雨 一瞬の躊躇はしたものの 負けるもんかと歩き出す。 | 道吹く風はあまりに寒く つまらぬ意地を後悔する。 それなら急いで…
先頭でバトンを受け取って、 少年は懸命に走った。 先頭でゴールをするために、 少年は懸命に走った。 でも途中でバトンを落とし、 後の皆に抜かれてしまった。 面目のなさに視界はぼやけ、 転んだ脚もひどく痛んだが、 それでも…
朝ぬくいものを飲む。 お昼休憩に詩を読む。 人の声を聴いて寝る。 そんな時間が確かにあって、 忙しい日々に忘れてしまう。 心がじんわり温まるような、 心がホッと落ち着くような、 そんな、ささやかな時間を、 一日の中に少し…
あらゆる無数の可能性の中で あの瞬間共に在ったという奇跡が どれだけの光であることか。 いつまでも色褪せることのない ただ心通わせる時間が どれだけの光であることか。 手を伸ばしても得られないものが いつの間にかそこにあ…
得ることは 失うこと。 得たものの形に合わせて 心の形も変わっていく。 一つ一つ別の形でできた パズルのピースのように 失って変わった心の形は 簡単には埋められない。 初めて得るものを大切に 大切に。
幼き日の母親は 美味しくなれ美味しくなれと 想いを込めて研いでいた それを真似した少年は 美味しくなれ美味しくなれと 想いを込めて研いでいた そして時代は移りゆき お米を研ぐ必要はなくなった 便利になるのはいいけれど お…
あの日の善い行いを忘れない。 友人の心の痛みを見かねた いじめっ子との取っ組み合い。 おばあさんの落としたものを 手伝って拾ったお礼のいちご。 それと同じだけ あの日の心の悔いも忘れない。 道端で倒れ込むおじいさんに 駆…
長旅の疲れを癒そうと 調べて辿り着いたのは 普段は絶対に入らない 小さくお洒落な珈琲店。 その日に入荷したゲイシャ種を せっかくだからと淹れてもらう。 由緒正しき品種だそうで じっくりじっくり淹れてもらう。 やっと出てき…
出汁めしは鶏に三つ葉が良い。 柔らかに輝く白ごはんに、表を香ばしく炙りあげた、もも肉を乗せる。 白ごまを軽くふりかけ、細かく刻んだネギと三つ葉で飾りつける。 鶏の、ほのかな紅に薬味の緑が映え、器の中は一枚の絵画のようであ…
あそこにパンが落ちてるよ こちらにタネ撒く人いるよ 私はパンを食べたいな 僕はタネを食べたいな 二人はどちらも譲れずに ずっと仲良くとまってる どこにも行けずとまってる
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