飛べない鳥の夢
飛べない鳥。
そう聞いた皆さんは笑うでしょうか?
ぼくは空を飛ぶことができません。
翼が不自由、という訳でもないのですが、いざ飛ぼうとすると身体がすくんで動けないのです。
満足に狩りにもいけません。
通常はこの時期になると、みんなで南に向かって旅に出るのですが、
飛べないぼくは、母や近所の仲間たちと身を寄せ合って、この海辺の森で暮らしています。
ぼくの家族は6人家族だったのですが、そのうち2人については、もう、いません。
兄と姉がいたのですが、それぞれ大鷲と毒蛇に喰われてしまいました。
やつらは、幼い頃から母に聞かされてきた恐ろしい森の番人です。
僕たちが巣立ちの季節になると、待ち構えていたかのように姿を現します。
ぼくは怖くて巣を出ることができませんでした。
あの日、ぼくの3人の兄弟は飛び出して、弟だけが帰ってきました。
母が目を腫らしていたことを覚えています。
「やつらが怖くて動けないんでしょう?」
と周りの仲間は庇ってくれます。
「ありがとう」
でも、違うんだ。
毎晩、悪夢を見ます。
何かから逃げ続ける夢です。
大鷲でしょうか?毒蛇でしょうか?それとも・・・
後味の悪い朝を繰り返しては、情けなさで胸がいっぱいになります。
本当は、ただ不安なだけなんです。
そんなこんなで、今は母と2人で生活しています。
弟と父は先日、南に向かって旅立ちました。
「行ってきます」と言う弟の目はキラキラしていました。
弟は生まれながらに才能に溢れ、その飛行術は父にも認められていました。
ひろいひろい海を越えて、とおいとおい島まで行くそうです。
黒い砂浜に緑で覆われた岩がごろごろと転がり、甘い果実も実る楽園。
「羨ましいなぁ・・・」
しかし、たどり着くには強い風や雨をこえていく強い翼と、運も必要。
いつかは行ってみたいのですが、ぼくには遠い夢の話です。
そんなある日。
不意に身体が軽くなり、なんでもできるような気がする、という夢を見ることがありました。
ぼくにとってはすごく新鮮な夢です。
目を覚ましたぼくは、これをチャンスだと思い、思い切って飛んでみることにしました。
「母さん、ぼく、飛んでみようと思う」
「・・・大丈夫なの?」
「わからない。でも、やってみようと思うんだ」
母は心配そうな顔をしていますが、ぼくは何故か自信に満ち溢れていました。
木漏れ日が眩しく、珍しく風はほとんどありません。
木々を抜けて、打ち寄せる波の音が聴こえてきます。
ウロの側の枝に移り、2回、3回と羽を広げます。
「それっ!!」
深く膝を折り、何度もイメージしてきた通りに枝を蹴りました。
数週間後。
ぼくはまだ森の中で暮らしています。
結局、新しい世界に旅立つほどにはうまく飛べず、枝を渡るだけで精いっぱい。
それでも、ずっと巣の中で暮らしてきたぼくにとっては大きな変化です。
少しだけ、食べ物を得る方法も学びました。
これからは、ぼくのペースで、ぼくにしかできない生き方を探します。
この森の中で。
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感動しました。
背伸びしないで、自分のペースで、生きる事は大事だと思います。
ともすれば、まわりに振り回される時もありますが。
自分の生き方
ずっと探しています
この鳥は自分にしかできない生き方
見つけることができたのでしょうか
らいむぎさん、こんにちは。
昨夜は朝まで配信を聴かずに今まで聴いたことがない他のらいむぎさんの動画を聴いていました。
お昼寝しようかと眠くなるラジオを聴きました。
「おやすみポポ」についてリスナーの皆さんのコメントを読んでいるらいむぎさん、本当に嬉しそうで。
その時の想いを忘れてほしくないと思ったのと、
それがあれば何とかもう少しだけ頑張ることができるのではないのかとふとそんなふうに感じたので伝えたいと思いました。
こうした作品、日記ラジオ、毎日の詩が救いの一部になってくれましたね。
伝えたいことを言葉にするのは難しいですけれど…。
もりラジの冒頭の語りを聴いて、らいむぎさんが「言葉」というものをとても大切にしているということが伝わってきました。
今のお気持ちを察すると胸が痛いですけれど、
らいむぎさんの真心は伝わりましたよ。
強いわけでもポジティブなわけでもなくて、
ただ今を一生懸命に生きている。
頑張ってます。大丈夫です。大丈夫です。
らいむぎさん、こんにちは。
旅の空はいかがですか。
こちらはまだ残暑厳しいながらも少しずつ秋を感じつつあります。
この鳥のお話がなんだか今の自分のことのように思えて。翼が不自由ではないのに飛びたつことができない鳥。
生活が思うようにいかないと気力がだんだん無くなってきて。食べる気力がないと身体に力が出ない。
それでもやっぱり生きるために食べなくちゃいけませんよね。
この鳥のように何かほんの少しでもいいからできることを探して。
らいむぎさんは身体が若いんですから、たくさん美味しいもの食べてくださいね。
好きなお湯に入って。
好きなものを見て。
そうできる身体と心があるうちに。
そして引き出しに宝物いっぱいに。
読んでるうちに涙が出そうになりました。
こんな時期が、子供の頃あったことを思い出しました。
忘れてた、とても大切な記憶です。
いつか、朗読してください。