碧と白

腰ほどの高さの小さなくぐり戸を抜けると

目の前は一面の碧だった

真っ白な手すりに身体を預け

ここまで登り切ってくれた脚を労わりながら

季節に似合わぬ涼やかな潮風を感じる

わあ〜キレイだね〜

後から登ってきた観光客が次々に声を上げては

持参したカメラで景色を持ち帰って行った

どのくらいの時間が経っただろう

あまりの心地よさについ長居をしたが

僕等は元来た階段を降りて行った

何もしていないはずなのに

初めて来た場所なのに

帰ることが寂しくなっていた

ここで風を受けている間だけは

身を焼くような心の痛みを忘れることができたから

スポンサーリンク