【フリー台本】ポンチャのおつかい【読み聞かせ用】

一 おつかい

「いてっ」

ポンチャは食べ物倉庫の低い天井で頭を打ちました。

「わぁ〜、大きなミミズ!」

ここは大きな杉の木の根元の小さな洞穴。

白うさぎの親子が二人仲良く暮らしていました。

ポンチャは母親想いですが、少しおっちょこちょい。

何かの途中で別のことが気になると、元々していたことを忘れて夢中になってしまいます。

「母さん!すっごく大きなミミズがいるよ!」

「あら、どれどれ」

お母さんはエプロンで手をふきながらやってきました。

「あら、本当ね。外は雨でも降ったのかしら」

「ね!こんなに大きな子は初めて見たよ!」

ポンチャは目をキラキラさせて言いました。

「よかったわね。それはそうと、ニンジンは数えてくれたの?」

「あっ!忘れてたや」

ポンチャはほっぺをポリポリかきました。

そして、倉庫の野菜ボックスの中をのぞきました。

キャベツにレタス、ダイコン。ミズナにシュンギク。

でも、にんじんは見当たりません。

「母さん!ニンジンもうないや」

「あら、困った。ニンジンサラダにしたいのにね。ポン、ニンジンをもらってきてくれないかしら」

「うん、わかった!モグさんのところだね」

モグさんは、この森で一番の野菜畑を持っているモグラのおじさんです。

ポンチャのおうちから、丘をひとつ越えた先にあります。

「ひとまず、三本もあれば大丈夫。気をつけてお願いね」

「まかせてよ!」

ポンチャははりきって、洞穴を出ました。

二 よりみち

外は雨が上がったばかりでした。

昨日の大雨で流された土が、道に広がっています。

いつもの道に描かれた雨の足あとは、大自然のアートでした。

「わぁー!きれい!まるで広がったニンジンの葉っぱだ」

ポンチャは水の通った後の模様をくずさないように、そっと歩きました。

丘をのぼる坂道にはやはり、ちらほらミミズが見られました。

「この子たちはどこに行くんだろう」

みんな、ここではないどこかへ行こうとチョモチョモはっています。

ポンチャはみんなを踏んでしまわないように、地面を見て歩きました。

そうして歩いていると、不意に赤いものが見えました。

よく見ると、ヤブヘビイチゴです。

「わぁ!おいしそう!」

ニンジンの葉っぱを思い浮かべて、少しお腹の空いていたポンチャはイチゴにくぎけです。

ついつい、道端で足を止めました。

「えい」

ヘタをよけて、イチゴをくわえます。

そのまま、はむっと食べてしまうと、これは絶品でした!

「おいしい!ちょっとすっぱいけど」

モチャモチャ食べていますと、少し先の方にまた赤い実が見えました。

「まだあるぞ!」

ポンチャはまたイチゴをくわえました。

モチャモチャ食べていますと、少し先の方にまた赤い身が見えます。

「わぁ!ご馳走がいっぱいだ!」

こうしてポンチャは横道に入っていってしまいました。

三 ごちそう

最後のイチゴを食べると、辺りは知らない場所でした。

「あれ?ここはどこ?」

ポンチャは周りを見回しました。

目の前には、ポンチャのおうちの何倍もある、ずいぶんと大きな洞穴があります。

なんだか、香ばしい香りもしました

「なんだろう」

ポンチャが洞穴に近づくと、中で大きな何かが動きました。

目をこらしても、暗くてよく見えません。

ノソ、ノソ、と音がして、大きな二つの目があやしげに光りました。

「わあ!」

ポンチャは怖くて動けなくなってしまいました。

洞穴の大きな影にあっけにとられ、身体はピクリとも動きません。

「誰だ」

太くて大きな声におどろいたポンチャは、そのまま気を失ってしまいました。

ポンチャが気づくと、そこは知らない天井でした。

だんだんと目が慣れてくると、目の前にはふさふさの黒い毛が見えました。

「気がついたかい?」

こちらを振り返ったのは、大きなヒグマの子でした。

「僕はマチャ。よろしくね」

向こうには、ヒグマのお父さんやお母さんも座っています。

三人は火を囲んで、川魚をあぶっていました。

「君がパターンって倒れちゃうから、心配したんだ。気がついてよかった」

「そうだったんだありがとう」

「まあまあ、君の分も焼いたから、まずはおあがり」

ポンチャは言われるがまま、火のそばに行きました。

しかし、お魚は食べたことがありません。

あまりおいしくはなさそうですが、せっかくです。

「えい!」

ポンチャは思い切って噛みつきました。

そしてあまりのまずさに、そのままもう一度気を失ってしまいました。

四 ただいま

ポンチャが気づくと、そこは丘をのぼる途中の道端でした。

「ここはクマさんたちが運んでくれたのかな」

側には小さなツボがあり、ハチミツがたっぷり入っています。

「わぁ!ハチミツがこんなに!母さんが喜ぶぞ」

ポンチャは張り切っておうちに帰りました。

「ただいまー!」

「あら、おかえり」

お母さんはエプロンで手をふきながらやってきました。

「母さんみてみて!!ハチミツ持って帰ってきたよ!」

ポンチャは目をキラキラさせて言いました。

「よかったわね。それはそうと、ニンジンはもらってきてくれたの?」

「あっ!忘れてたや」

ポンチャはほっぺをポリポリかきましたとさ。

 

おしまい

 

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2 件のコメント

  • おっちょこちょいのポンチャ。
    雨のあとに出来た模様を壊さないように歩いたり、ミミズを踏まないように歩いたり、すごく優しい子ね❤️

    他の事が気になると,今やってたこと忘れちゃう。
    まるで,リスさんだね。

    くまさんとこで、出された焼き魚、まさか❗❓食べちゃった
    やっぱり優しい
    お母さんも放っとけないでしようね。

    我が家にいたウサギさんは、賢くて、YES、NOが、ハッキリしてた。そのくせ、お母さんに凄く気を使って
    冒険好きなのに、慎重で。一言で表すと、奥ゆかしいウサギさん。
    ジャンプの練習をいっしよにやって…
    抱き締めて、抱き締めて育てました

    今回、ポンチャのお話聴いて、読んで、この子も愛らしいよね。
    ライ麦さんも、愛らしさ感じますよ。
    性別関係なく、大切な素養だと思います。

    何か‥へんなコメントになっちゃったかしら?

    人が素通りしそうなところを、拾って描くライ麦さんは、
    やっぱり素敵です
    素敵な

  • ちなみに、今日8月2日は、バニーの日だそうです。
    何となく、読んでみようと来たのだけど…
    導かれたのかな?うふふ

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