【フリー台本】双子と月【1人用 |3分】

双子と月

 頼麦 作

この文章の著作権は夜咄頼麦に帰属しますが、朗読についての著作使用権は解放しております。YouTubeでの朗読、声劇、そのほか音声表現活動などで自由にお使いください。

その際、この原作ページのURLを作品などに掲載していただきますよう、お願い申し上げます。

 

むかしむかし、はるか宇宙のそのまた先に仲の良い双子の星が住んでいました。

兄はカストル、弟はポルックスと言います。

ある晩、二人は地球を周る月について言い争いました。

兄のカストルは言いました。

「地球から見た月は、本当にきれいってうわさだよ」

弟のポルックスは言いました。

「あんな石ころがきれいだなんて、ウソに決まっているよ」

そこで二人は、北の空に静かに輝く、蒼いよだかの星に聞きました。

「よだかさん、よだかさん、地球から見た月は美しいのですか?」

よだかは答えました。

「ええ、天上から見た月とは天と地ほどの差があります。心を奪われるほど美しく、みんな月の下で眠るのです」

それを聞いた二人は、自分たちの目で確かめようと地球を目指しました。

月の横を通り過ぎる時、兄のカストルは言いました。

「あれれ、近くで見てもそんなにきれいじゃないや」

弟のポルックスは言いました。

「ほら、きっと月がきれいだなんてウソなんだよ」

二人は地球を目指します。

空をかける双子の星は燃えるように光り輝き、夜の地球は昼間のように明るくなったと言います。

地上に降り立った双子は、パッと月を見上げました。

目に飛び込んだ光景は、二人をあぜんとさせました。

明るく美しく輝く月面は、まるで黄金のようでした。

兄のカストルは言いました。

「なんてきれいなんだ。叶うならずっと見ていたい」

弟のポルックスは言いました。

「なんて優しい灯りだろう。ウソじゃなかったんだ」

心動いた双子の星は、毎晩こっそりと地上に降りるようになりました。

今でも、どこかの月明かりの下で仲良く眠っています。

おしまい

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3 件のコメント

  • 見る角度が変わると、感じ方や考えもガラッと変わるものですね。
    私も月明かりの綺麗な夜は、カーテンを開けて寝るのが日課です。月の優しい柔らかな光に癒されながら、眠りにつきます。
    心温まる素敵な可愛らしい物語、ありがとうございました。

  • その地球に生きる 私達は
    何て 幸せでしょう!
    気付きを与えてくれた双子の星さん、と、
    らいむぎさんに感謝です。

  • なんてかわいいお話し♪
    でも、お月様の正体はどっちなのかな?
    美しいのがほんとの姿?それともただの石ころ?

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