双子と月
夜咄 頼麦 作
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むかしむかし、はるか宇宙のそのまた先に仲の良い双子の星が住んでいました。
兄はカストル、弟はポルックスと言います。
ある晩、二人は地球を周る月について言い争いました。
兄のカストルは言いました。
「地球から見た月は、本当にきれいってうわさだよ」
弟のポルックスは言いました。
「あんな石ころがきれいだなんて、ウソに決まっているよ」
そこで二人は、北の空に静かに輝く、蒼いよだかの星に聞きました。
「よだかさん、よだかさん、地球から見た月は美しいのですか?」
よだかは答えました。
「ええ、天上から見た月とは天と地ほどの差があります。心を奪われるほど美しく、みんな月の下で眠るのです」
それを聞いた二人は、自分たちの目で確かめようと地球を目指しました。
月の横を通り過ぎる時、兄のカストルは言いました。
「あれれ、近くで見てもそんなにきれいじゃないや」
弟のポルックスは言いました。
「ほら、きっと月がきれいだなんてウソなんだよ」
二人は地球を目指します。
空をかける双子の星は燃えるように光り輝き、夜の地球は昼間のように明るくなったと言います。
地上に降り立った双子は、パッと月を見上げました。
目に飛び込んだ光景は、二人をあぜんとさせました。
明るく美しく輝く月面は、まるで黄金のようでした。
兄のカストルは言いました。
「なんてきれいなんだ。叶うならずっと見ていたい」
弟のポルックスは言いました。
「なんて優しい灯りだろう。ウソじゃなかったんだ」
心動いた双子の星は、毎晩こっそりと地上に降りるようになりました。
今でも、どこかの月明かりの下で仲良く眠っています。
おしまい
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見る角度が変わると、感じ方や考えもガラッと変わるものですね。
私も月明かりの綺麗な夜は、カーテンを開けて寝るのが日課です。月の優しい柔らかな光に癒されながら、眠りにつきます。
心温まる素敵な可愛らしい物語、ありがとうございました。
その地球に生きる 私達は
何て 幸せでしょう!
気付きを与えてくれた双子の星さん、と、
らいむぎさんに感謝です。
なんてかわいいお話し♪
でも、お月様の正体はどっちなのかな?
美しいのがほんとの姿?それともただの石ころ?